「もうね、ある意味貴重ですよ。あんな試合は滅多に観られませんもの。ええ」
後藤勝さんがこう嘆いたように、6月16日の日産スタジアムでの対横浜マリノス戦は今期最低の出来だった。
溜まった疲れからは回復できた筈だったが、実戦から離れた心身のコンディションはそう簡単に戦闘モードには入らなかった。
明大前のLIVREに集まった面々も憮然、唖然そして苦笑といった反応で、私はひたすら生春巻きを咀嚼することに務めた。
あの2010年の開幕戦も横浜マリノスとの対戦だった。
あの年の数少ない白星だった試合はやはり横浜に押し込まれる時間帯が多かったが、決勝点を上げたのは平山だった。
横浜の先発FWは背番号9の渡辺千真。前年にリーグ戦34試合に出場し、13得点を決めて新人王を獲得。国見の先輩である平山との対戦では心に期するものがあったはず。
しかしシュートチャンスを決めきることが出来なかった、その試合を思い出していただろうか。
チャンスらしいチャンスも無かった試合から1週間空いて、心身ともに戦えるようにコンディションが整ったかどうかを見る大事な試合だった。
セレッソは仙台や横浜に比べると寄せが甘い部分があって、ある程度自由にさせてもらえた。
また決定機を多く作られたにも関わらず失点を免れたのは権田の出来とともに、なぜあれを決められなかった?と東京サポからも疑問の声が上がるほどのセレッソの決定力の無さにも助けられた。
だが、前節とは段違いの工夫と気持ちは見せられた。草民はその象徴だった。
またヤザーも良い意味で観客を沸かせた。
何はともあれ、2万3千近く入ったホームの観客に気持ちのよい勝利を届けることが出来たことは一番だ。
梶山が足の故障で次節は出場が困難であると言われている。痛い非常に痛い、しかしピンチをチャンスに変えなければ上を目指せない。
鹿島戦で復調の兆しを見せた柏は侮れない相手。見応えのある一戦を期待したい。怪我人が続出する苦しい状況だが、国立を支配するのは我々だ。
実は私にとってのこの日のメインイベントは試合前に行われていたので、写真も何もないしキックオフぎりぎりに到着した。
この後にその至福の体験については報告しようと思う。