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鶴を折りながら

ヨネさんへ

加入1年目での活躍にはみんなが目を見張りました。日一日と進歩するヨネさんを見ていると、若い人の伸びる力って春のタケノコみたいだなと思い ました。
ヨネさんはいかにもタケノコのように手足もすくすく伸びていますから。

2年目はどれほどの進化を遂げるのだろうと私たちもそしてヨネさん本人も明るい気持ちで迎えたのですが、好事魔多し(うまく行っているときほど、 意外なところに落とし穴のような災難がある)というのでしょうか、大けがを負ってしまいました。

手術の後のリハビリはとても辛いものと聞きます。どんなに強い人も途中で逃げ出したくなることがあるとも。
その試練に19歳のヨネが立ち向かう。そのことがどれほどのことなのか、わたしたちには理解できるのでしょうか。
失意と焦りが日々を侵食するように感じることもあるかもしれません。

19歳のとき、わたしは何をしていたかな。
ヘルメットを被ってタオルを巻いて、デモや集会に参加していた。
大学の教室よりも、街頭や人が集まる場で学ぶことがたくさんあった。

世界を変えられるはずと思っていました。

佐藤春夫という作家の詩「少年の日」に”野ゆき 山ゆき 海辺ゆき”という一節がありますが、当時の私は”闘争の野ゆき 山ゆき 海辺ゆき” 学校は合間に行くという状態でした。
そのころヘルメットを被って街頭に出るとしばしばカメラを向けられました。カメラマンにとって若く怖いもの知らずの私は面白い被写体だったのでしょうか。緊張しながらもいつも笑顔でいたことでしょう。
一度も自分が被写体となった写真を見ることはなかったけれど、わたしの瞳には希望が光となって映っていたはずです。
その後、希望も理想も粉々に砕け散るようなことが次々起こりました。どれくらいの日々を費やしたのかようやく立ち上がって、また粉々になったものを拾い集めながら、ここまでやってきました。

結局、栄光や成功は手にすることはなかったけれど、挫折や敗北なら人に負けないくらい味わってきました。でも、今になって思うのは、どちらも同じだということです。挫折も敗北もわたしにとっては大事だった。それが私を作ってきたのですから。

あなたにもきっと辛い時期があるでしょう。それでもきっと希望で顔を輝かせて戻ってくることを信じて、待っています。
by inadafctokyo | 2010-03-10 22:35 | FC東京


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