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5度目の防衛戦、伏兵に苦労

WBCフライ級タイトルマッチが昨日有明で行われ、チャンピオン内藤大介が判定で同10位の熊朝忠を破り、5度目の防衛戦を勝利した。

そもそもこの防衛戦はWBCが中国の市場開拓を目的に組んだものだったのだが、直前で上海の会場の使用許可が下りなくなるという中国らしい展開となり、チケットも当日券発売のみ。急遽日本でやることになったが、前述の開催目的はなくなってしまっていた。

ボクシングを始めて3年目という挑戦者について、舐めていたとまで言うつもりはないが、調査は明らかに不足していた。
計量になって「思ったより小さい、やりにくいかもしれない」と言ったように、研究不足が響いて挑戦者の強引に飛び込んで体ごとぶつけるような迫力のある右フックに苦労していた。
6回にはダウンまで奪われ、あわやという場面にテレビで見ている私も慌てた。応援団の「内藤、内藤」というコールが一段と高くなる。しかし、今回は内藤自身のコンディション調整は大変うまくいったと語っていたように、スタミナと下半身の強化、メンタルの強さで危ない場面も乗り切った。研究不足でも、内藤の経験からくる対応力はさすがで、終盤は冷静に挑戦者を見て、足を使いつつリーチの差を生かしたジャブ、うまく隙をついてのアッパーでポイントを稼いだ。

バッティングで両まぶたを切り、口の中も血だらけの防衛戦となった内藤は試合後「しょっぱい試合ですみません」と謝ったが、手に汗握る面白い試合だった。
中国発の世界挑戦者の熊にもう少し経験とクレバーさがあれば、どうなっていたかわからない。挑戦者には連打する技はなかったが、強烈な右フックに賭ける思いきりと勢いがあった。自分のストロングポイントをよく理解して、その武器を最大限生かすことに徹底すれば力の差がある相手にも互角以上に戦える場合があるのは、サッカーもボクシングも同じ。

内藤の次の相手はこれまで何度も闘って、お互いに手の内を知っているポンサクレック(タイ)。今回の経験から学ぶことがあったはず。内藤らしいうまいディフェンスから多彩なパンチを繰り出して勝利を飾ってほしい。
by inadafctokyo | 2009-05-27 14:45


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