声援

 スタジアムの楽しみは一様ではない。家の最寄の駅から電車にのる時から始まっている。明大前で乗り換えて同じ電車に青と赤のものを身に付けている人が少しづつ増えだすと、今日の試合への期待も高まっていく。飛田給で降りて通り道のコンビニでビール、子供にはお菓子。少し先の路上の南口商店街の出店で焼きそばと唐揚げ、おにぎりを仕入れる。もうスタジアムへ向かう人の数がかなり増えてきて、歩道橋に差し掛かる頃にはいつも急ぎ足になる。スタジアムが見えている。
 キックオフ1時間前には席に着いていることが多いけれど少しも退屈することはない。ソシオの受付でカードを貰ったり、プログラムに目を通したり、周囲に目をやって知った顔を捜しながら1杯めのビールを飲む。そのうち選手がピッチに現れる。決まってゴールキーパーが最初に出てきて、練習を始める。フィールド・プレイヤーは遅れること5分くらいで登場する。ホームのサポーターは練習に出てきた選手を立って拍手をして迎える。
双眼鏡を覗きながら誰の調子が良さそうか、誰が先発か確認する。選手たちが引っ込んでしばらくすると選手紹介。アウェイのチームにはブーイングが浴びせられる。ブーイングは相手チームの主力であったり、力があったりする選手であればあるほど、大きいから、J1に上がってきたばかりのチームで実はあまり知らなかったりするとブーイングは小さい。あっさりとアウェイのチーム紹介が終わると、わくわく感を増大させる音楽とともに、大きなスクリーンにキーパーから順に選手の顔と名前が映し出される。ポジションと名前をアナウンスするのはDJのスティーブン、彼の声がない天皇杯などは気が抜けたビールみたいだ。ほら、スタジアムは歓声と選手へのコールでいっぱいになる。
 ホームゲームの運営は当然のことながら各チームそれぞれの特色がある。同じ味の素スタジアムを本拠地にしているとは言っても東京ヴェルディは全く色が違う。音楽の選び方ひとつとってもチームのカラーが出る。ヴェルディはもっと考えてもいいのではないだろうか。もっとしゃれたセンスのある音楽を使ってもいいと思うのだが。志向するサッカーには流行のJPOPよりぴったり来る音楽がある筈。本気で考える人がいないのかなといつも思うけれど、どうでもいい。
選手紹介の後は「You’ll never Walk alone」をスタジアムの観客が全て立ってマフラーを掲げて歌う。勿論アウェイ・チームのお客さんは歌わない。黙って聞いているいいお客さんもいるが、ブーイングや自分たちの歌で打ち消そうとやっきになっている場合もある。2万人近くの人が歌う「You’ll never Walk alone」はしびれる。
そして選手入場。朝から、いや昨日、一昨日から、先週からの今日の試合にかける思いが膨れ上がって思わず大声で何か発せずにはいられない。
メインスタンドに向かって両チームの選手が並ぶ。ホームの選手は写真撮影があってうちのこどもも選手入場に出たときは一緒に写真撮影をした。
キックオフの前、ピッチ上ではボール回しなどをしている選手一人一人にコールがかかる。
試合中にも、チャンスのとき、ピンチのとき声援が上がる。
 昨年からだろうか特に宮沢への声援にはいつも暖かいものが感じられるように思う。熱いだけではなくて暖かい。不調のときも決してさぼらなかった、小平で何本も何本もFKを蹴っていた。試合に出られない時期が続いたときもファンにはいつも控えめな笑顔で優しく接していた。
苦しい1年を過ごしたことを誰もが知っている。東京のサッカーに欠かせない選手であることも。要するにみんな宮沢が好きなんだ。期待しているんだ。それが声援に現れている。2日の神戸戦でFKを決めてくれた。それを聞いたときずーっと待っていた手紙がようやく届いたような気がした。
東京の試合を見続けて初めてFKで点が入ったのを見たのは宮沢が入団してからだった。直接FKがチャンスになるっていうのは横浜や磐田のようなチームのことだと思っていたから、びっくりした。それ以来宮沢のボールを蹴るときの左足の角度、その日のシューズの色が気になって仕方がなくなった。
宮沢は今年もっともっとやるよ。そう思う。
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by inadafctokyo | 2005-04-07 00:42 | FC東京


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